覗いてごらん アラサー サブカル通信

ちょっとマニアックな映画や音楽などについてアラサー女の目線で自由に書いていきます。

沼田まほかる原作映画2作品

イヤミスの女王 沼田まほかる

後味の悪いミステリのことを最近よく“イヤミス”って呼びますよね。

わたしはあまり使わない言葉ですが、沼田まほかると言えば、よくこの言葉がくっついてくるようです。湊かなえ真梨幸子もこの類の作家です。

湊かなえ真梨幸子も読んだことないと思います。あまり読書家ではありませんので、わたし。

でも読書ブームはたまに自分にやってきて、その時は凄く集中して何冊も読むのです。そして沼田まほかるも確かにわたしの中でフィーバーしたことがありました。

ユリゴコロを皮切りに『九月が永遠に続けば』、『アミダサマ』、『痺れる』←これは途中まで…。そして、彼女がその名を知らない鳥たちを読みました。今知ったんですが、ユリゴコロは一番新しい本なんですね。なので、世間のブームよりは少し遅くわたしにまほかるブームがやって来たのかも知れません。

 

映画化!!

さて、『ユリゴコロ』が出版されたのが2011年。それ以後、沼田まほかるは本を出していないようです。だから、わたしの中のブームもすっかり去って忘れていた頃に、今年になって『ユリゴコロ』と『彼女がその名を知らない鳥たち』が一挙に2作品も映画化されました。なぜこのタイミングなのか、わたしにはまったくわからないし、ただの偶然なのかも知れません。

とにかく、とても楽しみでした。

しかも『ユリゴコロ』はわたしの大好きな女優の吉高由里子が主演です!

『彼女が〜』の方も蒼井優が主演で、こちらも期待大!ってな感じ。

どちらかというと、『ユリゴコロ』の方が大好きな話だったので、公開が待ち遠しかったです。

 

2作を比較してみた

ユリゴコロ』が一足先に2017年9月に公開。そして『彼女が〜』が10月28日に公開されたので、ついに昨日観に行ってきた!!

結果から言います。

完全に『彼女がその名を知らない鳥たち』が圧勝 (飽くまで個人的意見です)!!

 

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ユリゴコロ

ユリゴコロ』と題された一冊のノートを末期癌の父の様子を見に来ていた息子が実家で見つけたところから始まる。それは、幼い頃から殺人を心の拠り所にする女の話で、大人になっても何人もただ殺したいという理由で殺人を繰り返してきた。しかし、“あなた”と出会ったことで何かが変わった。。というような内容が記されていた…。

みたいなストーリーなのですが、実写化するには少々無理が生じる、映像ではなく文章だからこそ成り立つ描写が多々あるんです。だから、そういう部分はどう表現するんだろうと興味があったんですが、バッサリなかったことになっていた…。そこは変えなくても別に問題ないのでは!?と思うようなところまで、設定に相異点があって原作ファンとしては到底納得できない。

しかし、吉高さんと松山ケンイチさんの過去パートは問題なかったと思います。問題は現代パート。殺し(の後)の現場やヤクザの描写がこの上なくちゃちくさく、ロークオリティ。松坂桃李もなんだか無駄に叫んでいたり…。本では泣きに泣いたラストらへんも映画では真逆に持っていってる気すらした。はァ。

 前回でも書いたように映画は役者さんのうまさは大前提で、大事なのは監督と脚本が大事だと思っています。 正直残念。もっともーっとクオリティの高い作品にできたはずなのに。と、まぁ、語っているのは所詮素人ですが。

あ、でもとてもイメージ通りだったのは“ラーメン” (ラーメン屋の男の呼び名)です。これはぴったりな見た目の役者!!笑。

 

本はこちら ↓ ↓ ↓

ユリゴコロ (双葉文庫)

ユリゴコロ (双葉文庫)

 

 

 

彼女がその名を知らない鳥たち

ろくに働きもせず、同居する陣治を罵ったりなじったりしながらも彼の少ない稼ぎでダラダラと生活する十和子。彼女はひどい暴力を受けたのにも関わらず昔付き合っていた黒崎という男を忘れられずに日々を過ごす。が、ある日刑事が家を訪ねてきて、黒崎が5年前から失踪している事実を聞かされる。愕然とする十和子だが、黒崎をどうにかしたのは、陣治の仕業ではないかと疑念を抱くようになる。

本を読んだのは3〜4年前だったかなぁ。胸糞悪い、救いようのない女の話だっ!と、まほかる作品の中でも個人的に好きになれなかった作品だったのです。正直最後まで読んでも、その胸糞悪さは拭い去れなかった。だから映画が公開が決まっても読み返すことはしなかったんですね。『ユリゴコロ』は久々に読み返したのですが。映画化が発表されてまずチェックしたのはキャストです。蒼井優阿部サダヲ、ふんふんいいじゃない、それに竹野内豊に、松坂桃李。あれ、松坂桃李って『ユリゴコロ』にも出てたね。で、大事な監督は白石和彌、脚本は浅野妙子。あ、ユリゴコロにはなかった安心感。

そして観た感想。すンげーよかったんだけど! というものでした…。本では涙一滴も流さなかったけど、映画では嗚咽が漏れるのを必死でこらえたと言う逆転現象が起きました、笑! いや、あなたがそこまで泣けるかどうかは保証しませんけど、少なからず、わたしの中に十和子と似通った部分があって…自分にとっての陣治が誰なのか、など重ねて観てしまうと涙が止められませんでした。映画というのは、観る時期によっても印象は変わります。多分わたしがこの作品を観るのに一番適した時期の一つは“今”だったのは間違いないと思います。

でも今回の阿部サダヲ、ホントよかったな。パン潰すところなど、結構笑いもあったし。蒼井優もホントに魅力的で。わたしの原作のイメージの十和子はもっとブサイクでしたけど、彼女から、いい感じのゲス感はにじみ出てましたよ。役者ですね〜。

 

本はこちら ↓ ↓ ↓

彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)

彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)

 

 

沼田まほかるの作品は、結末などが予測できてしまう人もいるぐらいで、もしかすると割と陳腐なものなのかもしれません。でも、わたしの心奪われる何かがあるんです。それは表現力とか文章力なんでしょうが、彼女は僧侶でもあったはずで、ちょっと常人とは違った感覚を持っているのかもしれませんね。

 

いや〜、いい映画に出会えるとホント嬉しくなります。またそういう作品に出会うため、映画館に足繁く通います。『彼女が〜』は、まだ公開して間もないです。是非映画館に観に行ってみてください!